風水の四神相応とは

 中国における四神相応は、後ろが山で玄武、前が水で朱雀、残りの2方向が砂で、山(玄武)を後ろにした場合に、左側が青龍、右側が白虎になっています。
 竜とは、山や山脈などを指します。尾根などの形を、竜の背に見立てているのです。日本でもそうですが、中国でももちろん竜は神であり、神聖な生き物です。ですから竜のような起伏のある地形は吉とされ、平坦な土地は凶となります。といっても、山の上などに住むことが良い、というわけではなく、竜の良い気が集まる、穴(けつ)が最も良いとされています。竜に囲まれた穴は竜穴と呼ばれています。
 日本では、山川道澤に対応させた四神相応が一般的です。東が青龍で、流水(川)、西が白虎で大道(道路)、南が朱雀で湖沼、北が玄武で丘陵(山)となっています。この四神相応は日本独自のもので、作庭記が元になっているとされています。作庭記というのは、名前の通り日本庭園の作法を書いた本で、主に貴族などの庭園を作るために書かれたものです。平安時代の貴族は、寝殿造りの家、そして四神相応の庭が必要だったのです。日本庭園に興味がある人はご存知でしょうが、枯山水は、砂を水に見立てていますよね。なぜ水の流れを作り出せない空間(庭)に、水の流れを模す必要があったのかというと、風水が影響しているのです。枯山水はもともと禅の思想から作られた庭です。もともと禅が道教の影響を受けて成立したことを考えると、ここにも風水の影響があるのは当たり前かも知れませんね。ただ、日本では仏教の影響も大きく、浄土式庭園では阿弥陀堂が中心になり、池が重要視されるようになります。道教思想であった蓬莱式庭園に始まった、庭造りにおける風水は、当時の流行とともに変化していったのです。
 また、相撲の土俵は、四神を表す4柱(神様)の名残が残されていて、もともとは4本の柱がありました。吊屋根に変更されたために、柱の変わりに4色の房が吊り下げられるようになりました。この色が四神に対応していて、青い房は東方を守護する青龍、白い房は西方を守護する白虎、赤い房は南方を守護する朱雀、黒の房は北方を守護する玄武を表しているのです。
 四神相応を応用して作られた物は、多くの日本人の心を惹きつけます。海外でも日本庭園は人気ですよね。その根強い人気、心に訴える力は四神相応という考え方から発展したのです。

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